質問への回答集「のれん」さんの場合

少し久しぶりに頂いた回答は24歳の女性ののれんさん。学生時代はINFJだったのが、社会に出て2年、INFPに変化がありつつも常にINFという生粋のINFの民の方だそうです。

それではこちらから回答になります。

Q.最初に生きづらい気がしたのっていつでしたか?

幼稚園からです。極度の不安症で、何か行事があるたびに「それを完璧にやり遂げられない不安要素」を探しては大泣きしていました。あまりの泣き止まなさに、あやすプロであるはずの幼稚園の先生たちも呆れて匙を投げる始末でした。
中学生になった頃には反動で気の強いわがままな反抗期っぷりを発揮しましたが、高校生で思春期に突入してからは、またその反動なのか、ふとしたことで不安になり消えたくなったりする気質が強くなりました。

Q.どういう時に生きづらさを感じますか?

人の気持ちを感じ取りたくないのに感じ取ってしまう時や、自分の気持ちに敏感に向かい合いすぎて囚われる時です。いつの間にか頭の中ですごい速度で想像が加速していき、手がつけられなくなります。社会人になってストレスが増えてからは基本的に「考えるのをやめて無心になる」が寝る以外にできません。ちなみに他人から見るとシリアスな顔をしながら虚空を見つめてるので、めちゃくちゃ霊が見えてる人っぽく見えるそうです。霊感などは全くありません。

Q.自分がINFの気質だと知ったのっていつでしたか?

大学生の頃、MBTIが流行り始めた時です。当時INFJと診断され「レアキャラだ!」と喜ぶのもつかの間、とても生きづらいタイプというネットの総評を見て嫌な納得感を感じました。
「この生きづらさは自分だけじゃなかったんだ」という心強さと、「自分と同じ人間はこんなに少ないのか」という落胆が同時に襲ってきたのを覚えています。

Q.ストレスを感じて疲れた時はどうやって癒やしていますか?

とにかく言語化します。SNSに吐き出したり、友達に聞いてもらったり。小説並みに長々とメモ帳に書き出したこともあります。
あとは芸術に逃げます。音楽を聴いたり、自分の嫌な感情を絵にしたり。
プレイリストの中には逃避した時に聴いた曲が山のようにあるし、家のデスクの引き出しの中には誰に見せるでもない病んだ絵が詰まっています。

Q.対人関係の中で「言わないくらい地味だけどこれがある相手は面倒」ってことありますか?

いい歳をして、己の持つ言葉の暴力性に気づかない人。
言葉はナイフによく喩えられますが、人間のほぼ誰もがこのナイフを使える中でその暴力性に気づかず便利だからと無差別にぶんぶん振り回している、通り魔みたいな人間が本当に苦手です。

Q.これまででやってよかったことってありますか?

イラスト制作です。読みやすさなどある程度のクオリティが求められる文章と違って、イラストはたとえ拙くても、自分の中の『何か』を1つの作品として完成させてくれるから好きです。
おまけ要素として、できたものをSNSに載せていいねが来るとさらに嬉しいです。
イラストを好きな人や描く人も私と似た気質の人が多いので、そんな人たちとSNSで知り合えたりするのも楽しいですね。

Q.生きにくさを感じることに対してどう折り合いをつけていますか?

じゃあ生きにくくない気質の自分は好きか?と自分に聞くと答えは決まって「いいえ」です。
この繊細すぎる生きにくさを経験しない人生は果たしてどうだったか……と考えると、きっと今よりもたくさんの人を無意識に傷つけている人生だったと思いますし、今の友達(私と同じくINFの民が多め)には出会えないか見限られていたと思います。

そう考えると今の自分でよかったような。自分が弱いからこそ、誰かの弱さに気づけたり、肯定したりすることができる自分が好きです。たとえ強くなれる選択肢があっても、最後まで繊細な弱さを選んで守れる自分でありたいです。

Q.音楽や色などでINFの民をイメージするものはありますか?

ラヴェルやドビュッシーなど、複雑だけど心地よい比較的近代のヨーロッパの音楽。自然なのにロマンチックで現実感のない感じがINFを想像させる気がする。あとは、INF特有の脳内のオタクじみて尖った世界観を表出させたような、癖の強いボカロ曲。

色は品のある深緑と深い紫、あるいはすごく透き通った淡い空の色のイメージ。暖色系のようなわかりやすい温かさではなく、どこか寂しくて突き放すような、優しいけどちょっと彩度の低い色。

Q.好きな作品ジャンル(世界観)はなんですか?好きになる作品の傾向や特徴は?

①その作品だけでスピンオフ作品が何個も作れてしまうくらい世界観がすごくしっかり設定されているもの。その作品でいくら妄想しても作品世界が妄想に負けないから。
②人間愛、人間に共通する普遍的なものを描いた作品。作者の美学が反映されているものが特に好き。その作品を鍵として、深く人間について考えられるから。
③絵柄が好きなもの。単純に美しいものが好きなので。

Q.INFの民としての強みを漢字一文字で表すと?

『深』だと思います。空を目指す上昇志向の人々とはまるで真逆のテーマを生き、たとえ根暗だと言われようが、日の届かないような暗い側面までひたすら掘り進めることが強みだと思います。
そして他の人には見つけられなかった、人々に共通する根っこの部分や自分だけの地下の宝石を見つけた時。
そしてそれを地上のみんなに報告する時にこそ、INFの強さは報われるのではないかと。

Q.INFの民が、良い関係を築ける友達と出会うためにはどうしたら良いでしょうか?

ベタですが、ありのままの自分を好きでいてくれる人を選ぶとよいと思います。言い方は悪いけどINFは優しいくせに独特の世界観を持っているイメージがあるので、優しさで引き寄せておいてたまに独特の雰囲気をちらつかせたりすると相手は自分に興味を持ってくれるような気がします。
そんな側面をどうでもよく扱ったり流したりして、INFの優しさのみを搾取しようとする人間からは全力で逃げた方がいいと思いますね。

Q.あなたはどう生きてる?どう生きるべきだと思う?

社会に出て2年目で既に1回転職しています。
1度目は人の助けになりたいと思い介護職になりました。ただ、「助けなければ」という義務感のみによって仕事をしていたためか、終わりのない奉仕に絶望を見出して心が耐えられず辞職。あと単純に文化系の私には体力が持たなかったです。

現在の職は体力勝負ではない事務職。「変化のない日々は仕事として割り切って、ただ平穏に暮らせればな……」と思っていたら、職場は毎日トラブルとギスギスと効率重視の作業の連続でした。
どうしても周りの話し声で気が散ったりして事務作業ができず怒られ、上司に詰られまくり、こんなにも自分は社会不適合者だったかと絶望する日々です。

ただプライベートでは友達の縁はとても恵まれているので、そこは不幸中の幸いだと思って救われています。

興味のあることを仕事にしないと、一生稼げないし怒られるし芽吹かない気質だと思います。そしてギスギスした環境の中の電話対応と事務作業は死ぬほど向いていなかったことは確かです。

正社員として責任と仕事への興味を求められるのが苦痛でしょうがないので、本当はもっとフリーターとか派遣とかゆるい雇用関係になって、今住んでいる実家を出て一人暮らしをして、自分を楽しませて生きていきたいです。田舎でのんびりでもいいし、便利な都会の狭いワンルームでくつろぐのも楽しそうで。いつかなれるといいなと思います。

ということで、のれんさんの回答でした。

まさかの幼稚園から傾向が…とのことでしたが、自分もどこかに書いていたかもしれませんが、「引っ越しをしていつも遊ぶ公園が変わった結果そこで遊んでいる子どもたちに対して大暴れ」というとんでもない事をしていたことが亡き母から教えてもらった生まれて最初の不適合気質だったという話を覚えています。3歳だか4歳だかの頃の話で、抗えないものですね。

回答の中で素敵だと思ったのが「生きにくくない気質の自分は好きか→いいえ」という文脈でした。

これは本当にそうで、苦悩のたびにそれだけ考えられるんだとも思うし、不安に思うたびにそれだけ知能が高いんだと思うようにしています。でも疲れることは疲れるし、どこかしら肯定が無いと崩れ落ちてしまいそうなので諸刃の剣ではありますね。その点で友人、人間関係に恵まれているとはっきり言えるのはとても大きいですね。

間違いも後悔も全てが自分を作ってるわけですから、そういう点を認めて、それでも前に進もうとすることが人生で最も大事なことの一つだとも思います。自分の方はちょっと停滞気味かも。

結局自分を偽ることはできなくて、まぁしようとしても疲れてしまうので、それこそありのままの自分を好きでいてくれる人を探すしか無いし、誰にもご機嫌取りをさせるわけには行かないので自分で自分を楽しめるような事を探すしかないわけですね。

とても完成された回答というか、うんうんとうなずいてしまう内容でした。

しかし事務職…意外と大変なんですよね。自分も楽かな~と思って入ったらデスクを挟んで向こう側に営業部があって気合十分のパワハラまがいの指導を耳にし目にしですり減っていった新宿時代を思い出しました。仕事内容はともかく周りの人間でもうアウト。INFのやりやすい仕事ってやっぱり探すの難しくて、「出来ること」を選んでもそこにいる人間の空気一つで印象が大きく左右されるんですよね…。

ということでのれんさんの回答でした。

当ブログではいつでもこの質問集への回答をお待ちしております。メッセージでもメールでも、残してくだされば管理人の時間がある時に記事になります。

のれんさん、ありがとうございました。